冬が近づくにつれ、雪の積もった山道や凍った高速道路を走行する機会が増えますよね。安全かつ法的に問題のない方法で雪道の運転をするためには、チェーン規制を理解しておくことが重要です。従来の金属製チェーンが長らく標準とされてきましたが、最近では「スノーソックス」のような「布製タイヤチェーン」などの革新的な製品が人気を集めています。これらの布製タイヤチェーンは、取り付けが簡単でかつ快適な乗り心地を実現しています。しかし、雪道の走行準備を整える前に、特定の規制や要件をしっかりと確認しておく必要があります。ここでは、高速道路におけるチェーン規制についてと、スノーソックスなどの「布製タイヤチェーン」を使用するメリットについてご紹介します。
国道および高速道路の規制
チェーン規制の概要
日本では、降雪時の安全運転のためにチェーン規制が重要な役割を果たしています。日本には山岳地帯が多く、厳しい降雪が伴うエリアもあるため、これらの規制を厳守する必要があります。チェーン規制が発令された高速道路上(道路標識で指定された場所)ではタイヤチェーンなどの滑り止め装置の使用が義務付けられています。これらの標識は、通常、山道の入り口や積雪の多い地域に設置されています。
2018年以降、国土交通省は、大雪や緊急時の積雪状況に応じて、スタッドレスタイヤのみでの走行が禁止されている高速道路や国道の特定区間を設定しました。(例:大雪警報や大雪に関する特別な発表があった場合)。これらの規制区間では、スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンを装着していない車両はチェーン規制中に通行することはできません。
高速道路規制を実施する理由
チェーン規制は、大雪時の道路交通確保のために導入されました。2018年以前は、大雪時には除雪作業が完了するまで、山間部の道路が通行止めされることもありました。これにより、長時間にわたる交通渋滞が発生していました。チェーン規制を設けることで、チェーンを装着した車両は通行が許可され、交通渋滞を最低限に抑えることができるようになりました。
チェーン規制が発動されるタイミング
チェーン規制は、積雪量が多く車両が立ち往生するリスクが高まった場合に実施され、規制の準備は、積雪が予測される数日前から開始されます。国土交通省や警視庁が、大雪による道路閉鎖(チェーン規制)の可能性を、積雪の2~3日前に公表します。この情報は、道路利用者や地元住民に対して、ラジオ、テレビ、インターネット、道路情報板などを通じて提供されます。これにより、ドライバーは①チェーンを装着する、②代替ルートを選択する、または③不要な移動を控えるといった対策を取ることが可能になります。
チェーン規制による罰則について
チェーン規制が発動された場合、検問所でタイヤチェーンの装着確認があります。規制区間の直前に検問所は配置され、チェーンが装着されていない車両は、スタッドレスタイヤを装着している場合でも、規制区間への通行が禁止されます。検問所でのチェーン確認に対して罰則や罰金は課されませんが、チェーンの装着確認を回避して重大な交通渋滞を引き起こした場合は、道路交通法違反として罰則や罰金の対象となる可能性があります。
チェーン規制エリア:どの高速道路が影響を受けるのか?
この規制は、過去に車両が立ち往生してしまった区間や、大雪による通行止めがあった急な上り坂や下り坂を含む山間部で実施されます。重点エリアには、タイヤチェーンの装着や取り外しができる場所や、道路閉鎖が解除されるまで待機できる場所が含まれます。規制が有効になると、規制区間に入る前に前述した検問所が設置されます。チェーン規制区間は順次更新予定となりますが、以下が2023年10月時点での状況です。
高速道路におけるチェーン規制区間
都道府県 |
場所名 |
ルート番号 |
区間 |
距離 |
新潟県および長野県 |
上信越自動車道 |
E18 |
信濃町ICから新井PAまで |
24.5km |
山梨県 |
中央自動車道 |
E20 |
須玉ICから長坂ICまで |
8.7km |
長野県 |
中央自動車道 |
E19 |
飯田山本ICから園原ICまで |
9.6km |
石川県および福井県 |
北陸自動車道 |
E8 |
丸岡ICから加賀ICまで |
17.8km |
福井県および滋賀県 |
北陸自動車道 |
E8 |
木之本ICから今庄ICまで |
44.7km |
広島県および島根県 |
浜田自動車道 |
E74 |
大朝ICから旭ICまで |
26.6km |
岡山県および鳥取県 |
米子自動車道 |
E73 |
湯原ICから江府ICまで |
33.3km |
国道におけるチェーン規制区間
都道府県 |
場所名 |
ルート番号 |
区間 |
距離 |
山形県 |
月山道路 |
112 |
西川町志津から鶴岡市上名川まで |
27km |
山梨県および静岡県 |
山中湖・須走 |
138 |
山梨県山中湖村平野から静岡県小山町須走字御登口まで |
8.2km |
新潟県 |
大須戸 - 上大鳥 |
7 |
村上市大須戸から村上市上大鳥まで |
15.3km |
福井県 |
石川県境 - 坂井市 |
8 |
あわら市熊坂からあわら市笹岡まで |
3.2km |
愛媛県 |
鳥坂峠 |
56 |
西予市宇和町から大洲市松尾まで |
7km |
広島県および島根県 |
赤名峠 |
54 |
広島県三次市布野町上布野から島根県飯南町上赤名まで |
12km |
布製タイヤチェーンは高速道路で使用可能
近年、日本ではスノーソックスのような新しい技術が採用され始めています。スノーソックスは、従来の金属製チェーンに代わる革新的な滑り止め装置で、タイヤにかぶせるだけで雪道や凍結した路面でのグリップ力を向上させる布製タイヤチェーンです。この布製チェーンは、軽量で取り付けが簡単であり、道路にも優しいという利点があります。また、コンパクトに収納できる点や、運転中の静音性が高いことも、多くのドライバーに評価されています。
オートソックのような布製チェーンは、チェーン規制時にも使用が認められています。2018年に国土交通省が規制区間を新たに指定した際、布製チェーンが使用可能なチェーンの種類として明確に記載されました。現在では、布製チェーンは高速道路でも金属タイヤチェーンの同等品として一般的に認められています。
スノーソックスの詳細、使い方やその必要性についてさらに知りたいですか?詳しくはこちらのスノーソックスに関するブログ記事をご参照下さい。
高速道路におけるスノーソックスのメリット
冬に高速道路を走行する際、スノーソックスには以下のようなメリットがあります:
- 簡単な取り付け:金属製チェーンに比べて、布製タイヤチェーンは数分で装着でき、時間や手間がかかりません。
- 快適な走行:布製素材は金属製チェーンに比べて静かで、雪の上でも快適に運転ができます。
- 車両へのダメージ回避:スノーソックスは布製で、タイヤやホイールを傷めにくく作られています。
- コンパクト収納:軽量で収納場所もコンパクトなので、車内での保管がしやすく、積みっぱなしでも邪魔になりません。
スノーソックスはどのタイヤに装着すべきか?
スノーソックスは駆動輪に装着する必要があります。後輪が駆動車の場合は、後輪にスノーソックスを装着してください。また、ブレーキやハンドリング性能を向上させるために、前輪にも装着することが推奨されます。必ず車両の取扱説明書に従って、滑り止め(タイヤチェーン)に関する指示を確認してください。車両のメーカーによっては、前輪への滑り止め装置の装着を認めていない場合があります。
前輪か後輪のどちらにスノーソックスを装着すべきか迷っている方、また4WD車両の場合についての詳細は、当社の取り付けに関するブログ記事をご覧ください。
NEXCO東日本がAutoSockのスノーソックスを採用
2018年冬、国土交通省は「チェーン規制」を改定し、大雪時に車両が立ち往生するのを防ぐため、夏タイヤだけでなくスタッドレスタイヤでもチェーンが装着されていない場合には通行が禁止される区間を設けました。つまり、チェーンを装着していない場合はいかなる車両も通行止めとなります。国土交通省は、 チェーン規制時に適合となるチェーンとして、布製タイヤチェーンも認めています。
NEXCO東日本の最新の取り組みは、この「チェーン規制」に対応したものです。NEXCO東日本では日本の高速道路会社として初めて、NEXCO東日本のWEBショッピングサイト「ドラぷらショッピング」で、降雪・凍結で滑りやすい路面からの脱出・応急的な移動を目的とした布製タイヤチェーン(乗用車 用・軽自動車用)の取り扱いを開始しました。
全国には13の指定された「チェーン規制区間」があり、NEXCO東日本の管轄内では、上信越自動車道の新井PAから信濃町IC(新潟県上越市から長野県信濃町)までの区間が指定されています。
2019年以降、NEXCO東日本は、冬の道路状況で立ち往生した車両を救援するために管轄内のパトロールカーにAutoSockのスノーソックスを配備し使用しています。
まとめ
冬の雪道を安全に走行するためには、チェーン規制を理解することが非常に大切です。従来の金属製チェーンは広く知られていますが、布製タイヤチェーンは高速道路で使用を認められたチェーン規制対策用のタイヤチェーンです。出発前に目的地までの天候や規制を必ず確認するようにしましょう。十分な情報を持ち、しっかり準備を整えることで、日本の雪道を安全に走り抜けることができます。金属製チェーンを選ぶにせよ、スノーソックスを選ぶにせよ、安全を最優先にし、正しいガイドラインに従うことが大切です。適切な装備と知識があれば、雪道でのドライブを楽しむことができるでしょう。