布製タイヤチェーンの耐久性・寿命は?走行可能距離や推奨運転速度を解説

 布製タイヤチェーンを装着した白い車

雪道や凍結した路面を車で走る際に、滑り止めになるタイヤチェーン。タイヤチェーンの種類はさまざまで、金属製やゴム製のほか、布製も選択肢の一つです。


布製タイヤチェーンには軽さや値段の手頃さなど、金属タイプや非金属タイプの製品にはないメリットがあります。しかし、布製タイヤチェーンのデメリットとして耐久性の面に疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。


実際のところ、布製タイヤチェーンの耐久性や寿命、走行に関する能力はどの程度なのでしょう。布製タイヤチェーンを長く使うための注意点や、交換のタイミングについても順番に解説していきます。


布製タイヤチェーンの耐久性・寿命 

布製タイヤチェーンを利用する上で気になるのが、耐久性や寿命に関する部分です。どれだけ携帯性に優れていて値段が手頃でも、すぐに壊れてしまうようでは、結局高くついてしまいます。


そこで走行可能距離と推奨運転速度という二点から、布製タイヤチェーンの耐久性や寿命を見ていきます。今回はモデルケースとして、AutoSockの商品を参考にしました。


走行可能距離

AutoSockの製品をAutoSockと第三者機関がテストしたところ、布製タイヤチェーンの寿命は乾いた路面では120kmでした。一方で、雪道では数百kmの走行にも耐え得るという結果が出ています。


AutoSockは欧州標準化委員会が2020年に設定した冬季滑り止め装置規格であるEN16662-1にも準拠しており、他のタイヤチェーンと比べても、性能面で大きな不満を感じることはないでしょう。



使用方法を守って雪と氷の路面のみを走行した場合、オートソック(AutoSock)は数百キロ以上でも大丈夫です。下の写真は2024年1月にオートソックをテスラのモデルYに装着し、ノルウェーの一般道を走行した時のものです。オートソックは500km走行後も目立った損傷も無く、良い状態を保っていました。



ただし乾燥路面と雪道とで、走行可能距離に大きな違いが出ていることからも分かる通り、適切な環境で利用して初めて、効果や寿命を最大限に発揮できます。これはAutoSockに限った話ではなく、繊維製品である布製タイヤチェーン全般に通ずる特徴です。


推奨運転速度

AutoSockの推奨運転速度は車両によって異なります。一般的な乗用車であれば時速50km以下、バスやフォークリフトであれば時速30km以下での走行を推奨しています。


雪道の路面状況は天気や時間、標高によっても変化するので、場合によっては更に速度を落とす必要も出てくるでしょう。


仮にそれ以上の速度で走行すると、タイヤの摩擦力がなくなりホイールスピンを起こしてしまいます。エンジンのエネルギーが路面に伝わりにくくなってしまうのです。


金属製のタイヤチェーンのように地面に食い込みながら走行するのではなく、氷や雪の層の表面に摩擦を起こしトラクション(車体を引っ張る力)を作り出して走行する布製タイヤチェーンの場合、それでは効果を発揮できません。布製タイヤチェーンを使用する際には、推奨運転速度を必ず守るようにしましょう。


布製タイヤチェーンを長く使用するための注意点

いくつかの注意点を守るだけでも、布製タイヤチェーンの寿命は大きく変わります。既に布製タイヤチェーンを使ったことがある方も、これから購入を検討される方も、紹介するポイントを参考にしてみてください。


1. タイヤサイズに合ったものを装着する

必ずタイヤサイズに合った製品を選びましょう。タイヤサイズは、タイヤ本体の側面に書かれています。異なるサイズの製品を装着すると、効果も損なわれる上、最悪の場合走行中に外れてしまうなどの、事故の危険があります。


適合する布製タイヤチェーンのサイズは、販売サイトなどで調べられることが多いので、購入する前には一度確認してみてください。どうしても分からない場合は、販売店や代理店に問い合わせるのも手です。


2. 雪道または凍結路のみで使用する

走行可能距離の項目でも触れましたが、布製タイヤチェーンを乾燥道路で使用すると、寿命が大幅に短くなります。少々面倒でも、雪道や凍結路を抜けたら、安全な場所でなるべく早く外しましょう。


3. 駐車時は外す

30分以内の短い駐車や停車であれば構いませんが、それ以上車を停める際には、布製タイヤチェーンは外しましょう。


長時間の駐車は、布製タイヤチェーンが凍結する恐れがあります。これは、走行中に大量の湿気がチェーンの繊維に吸収されているためで、布製タイヤチェーンならではの性質です。


4. 使用後は汚れを落として乾燥させる

布製タイヤチェーンに特別なメンテナンスを施す必要はありませんが、使用後はよく汚れを落として、乾燥させてから片付けましょう。


AutoSockのように、布製タイヤチェーンの中には40度のお湯で洗濯機洗浄できるものもあるので、手洗いが面倒に感じる方は、そういった製品を選ぶといいかもしれません。


5. 推奨速度を守る

布製タイヤチェーンの効果を発揮させる意味でも推奨運転速度を守ることは重要ですが、長持ちさせるためにも、速度の出し過ぎには注意しましょう。


何より、雪道を高速度で走行するのはそれだけでも危険な行為です。まして布製タイヤチェーンが必要となるような道路状況であれば、車に負荷をかける運転は控えるべきです。


布製タイヤチェーンを交換するタイミング

続いて布製タイヤチェーンを交換するタイミングについて解説します。ここでもAutoSockをモデルケースとして見ていきますが、メーカーによって交換の基準は違ってくるので、あくまで参考例の一つとしてお読みください。


AutoSockは2層ファブリックというデザインを採用していて、トラクションファブリックのうち外側の見える部分の布が白色、内側の見えない部分が黒色という配色になっています。


そして外側の白い布に混じって、黒い布が見えてきたら交換時期となります。表の白い布が摩耗して、効果が落ちてきたら色が変化するという構造は視覚的に把握しやすく、非常に機能的です。


まとめ

布製タイヤチェーンは、使い方次第で数百kmの距離を走行できます。雪道以外では寿命が短いためできるだけ早く取り外した方がよいですが、持ち運びに便利なので、急な大雪にも対応しやすいです。


タイヤチェーンの条件や利用シーン、頻度などとも照らし合わせながら、布製タイヤチェーンを検討してみてください。


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